酸化チタンは、主用途としては白色の塗料として活用される金属化合物です。近年では他の顔料との混合やコーティング技術の発達により、他の配色の塗料にも応用されているケースがあります。特徴としては、紫外線に触れると光触媒としての性質が発揮される点にあります。化合物を構成する酸素と空気中の水蒸気の反応を促し、強力な親水基の表層が形成されます。この状態で酸化チタンの塗料面が雨に晒されると、表層部に水の流れが出来る事で既に付着していた汚れ等が自然に洗い流されるという、セルフクリーニングと呼ばれる特徴あります。また同様のメカニズムにより活性酸素が発生する事で、酸化チタンに直接触れる部分については殺菌効果も発揮され、清潔感が維持されるという特徴も見られます。
こうした性質は、特に建築現場での塗料としてその威力を発揮します。代表的な用途としては住宅等の外壁塗装であり、外観が酸化チタンの性質によって自然に維持され易くなる事によって、継続的なメンテナンス費用の節減にも繋がるという効果が得られます。白以外の色合いが出せるようになっている事で、一般住宅への応用も進んでいます。また金属としてのチタンは非常に耐食性が強いという性質があり、酸化チタンでもその性質は発揮されます。その為、建材の表面に酸化チタンの皮膜を形成して置くと、海岸・温泉地・工業地帯といった塩分や各種のガスに晒されやすい環境においても、建材としての耐久性を充分に発揮出来る素材を構築する事が可能となります。こうした点から、建築現場における需要は大きく広がるものとなっています。